漫画は気楽に読める娯楽の一つです。絵の助けを借りて読み進められ、口語表現の宝庫でもあるという点から、韓国語の多読を楽しむ素材として最適です。
ただし、くだけすぎた表現や俗語も含まれるので、この点には注意が必要です。
記事の目次
日本の漫画の韓国語版で口語表現を身に付ける方法
韓国では、ありとあらゆるジャンルの日本の漫画が紹介されており、作品によっては、韓国人の中で大変人気のあるものもあります。
なので「韓国的なもの」を漫画に求めるより、まずは読んだことがある日本の作品の韓国版を探すことをおすすめします。
こうした作品ならば、粗筋や登場人物のせりふが大体分かり、辞書の助けがなくても読み進めやすいので、肩の力を抜いて読むことができます。
また、どんな設定でどんなキャクターが登場するかも分かっているので、自分が身に付けたい言葉遣い(例えばセレブな言葉遣いや若者言葉、中年女性の言葉など)がある場合、そうしたキャラクターが登場する作品を狙って選ぶことができます。
日本の作品を読むときに注意したいのが、日本語的な言い回しの韓国語が交じることがある点です。
漫画の短い文字数では表現がし切れないせいか、そのまま直訳で韓国語にしている部分も、今回日本漫画の韓国語版を検証した際に所々見受けられました。
しばらく前の作品であっても、中古書店やオンライン書店である程度探すことが可能なので、昔ハマった作品を探してみてはいかがでしょうか。
また、最近の作品はあまりタイムラグなく翻訳されているようなので、読んだばかりの作品を探すのも一つの方法です。
韓国の漫画でリアルな文化を同時に学ぶ
一方、韓国の漫画からは、韓国のリアルな文化を知り、生き生きとした口語表現を学ぶことができます。
韓国では、漫画家の発表の場としてネットで読む웹툰(ウェブトゥーン)が一般的で、サイトにアクセスすれば、毎日更新される人気漫画をジャンル別、人気順で検索し、無料で読むことができます。
スマートフォンのアプリ「네이버 웹툰」などをダウンロードすれば、移動中にも気軽に読むことができるのでおすすめです。
日本で一大ブームを巻き起こした『スラムダンク』は、韓国でも若者たちに大きな影響を与えました。ちなみに桜木花道は강백호、流川楓は서태웅。
2023年に26年ぶりに復活を果たした同作品は、当時韓国で公開された日本のアニメ映画の中で歴代1位の興行を記録するなど大ヒットしました。
どんな言葉遣いを学べるのか?幾つかの漫画を読んでみた!
大ヒットした漫画を中心に韓国の作品と日本の作品を選んでみました。少し前にはやった作品ですが、映像化もされている人気作品です。
韓国の作品
미생(未生)
윤태호 作
囲碁が全てだった主人公がプロを諦め、商社の過酷な現実の中で生きていく話。舞台が職場なので、職場での言葉遣いや文化を知るのに最適。目上が目下に対して使う、책임지게、자네는 나와 같이 가지のような言葉遣いに注目してみましょう。
순정만화(純情漫画)
강풀 作
同じアパートに住む、年が12歳離れた会社員と女子高校生の恋愛を描きます。会社員の純真で丁寧な話し方や、女子高校生の多少荒々しい若者言葉に注目。
식객(食客)
허영만 作
男性主人公が女性記者と全国のおいしいものを訪ね、時に料理対決をする話。韓国人もあまり触れたことのないような料理に関する単語が多数登場。また主人公が全国を回る設定なので、方言も登場します。
日本の作品
신의 물방울(神の雫)
原作:亜樹直、作画:オキモト・シュウ
主人公が、父の遺産を相続するため「神の雫」というワインを探し求める話。外来語が多め。全体的にタメ口と丁寧語が均等に交ざって登場し、年齢や性別に関係ない無難な表現が主に出てきます。
캔디캔디(キャンディ・キャンディ)
原作:水木杏子、作画:いがらしゆみこ
孤児として育ったキャンディが困難に打ち勝ち元気に生きていく話。少女漫画だけに、女性的な話し方が圧倒的に多いです。独白形式の表現は日記や自分の感情についてメモを書くのに役立ちます。
유리가면(ガラスの仮面)
作:美内すずえ
演技の天賦の才を持った女性主人公が女優として成長する話。ある程度教養があってつつましい言葉が比較的多いため、成人女性の話し方を学ぶのに適しています。また、自分の意見や気持ちを効果的に表す表現も多く出てきます。
시마계장(係長 島耕作)
作:弘兼憲史
おなじみ「島耕作シリーズ」。男性会社員同士のやりとりなど、ビジネス韓国語を学ぶにはよいが、日本語的な言い回しが出てくるので注意が必要です。
진격의 거인(進撃の巨人)
作:諫山創
突如出現した巨人により滅亡の淵に立たされ巨大な城壁の内側で暮らす人類と巨人との戦いを描いた作品。擬声語擬態語が多く、絵と一緒に見ることで覚えやすいです。男性キャラクターが多く、大多数がタメ口を使うので、親しい間柄での話し方を学ぶのに適しています。
この記事が掲載されている書籍
定価:1518円(本体1380円+税10%)