語彙力は、韓国語のみならずあらゆる外国語学習の土台。そしてそのために単語の暗記は避けて通れません。
学習時間を確保できない人や物忘れが増える年齢の人にとっても同じことです。この「単語問題」、一体どうすれば解決できるでしょうか?
前回の記事「韓国語の単語学習(1) 語彙力はすべての土台!」では、自分が単語学習にきちんと取り組めているかについて、簡単にチェックしていただきました。
今回は、学習のレベル別にどのような単語を覚えればいいのかについて見ます。
何を覚えればいいの?
ここでは「何を覚えるか」「何語くらい覚えればいいのか」について見ていきたいと思います。
次の表は検定試験などのレベル別語彙数をまとめたものです。
韓国の政府機関、国立国語研究院(現国立国語院)の「学習用語彙リスト」にはAランク982語、Bランク2111語、Cランク2872語の計5965語の語彙が指定されています。
TOPIKでは初級レベル(1・2級)語彙1847語、中級レベル(3・4級)語彙3873語の計5720語が公表されています。ハン検は、5級482語、4級590語、3級1559語、準2級3464語、1・2級5245語を各級の出題範囲として公表しています。
ハン検は全部で六つの級がありますが、準2級までが中級と考えられます。すると上記では、どの試験も、中級を終えるまでに6000語くらいの語彙力が必要としていることが分かります。これらが、学習者が覚える単語数の目安となるでしょう。
なお、各出版社から「入門」「初級」「中級」などとレベルを明記して発売されている単語学習書も、こうした語彙リストに依拠している場合が多いです。
「伸び悩み」を防ぐために、初級単語は抜かりなく覚えよう
初級レベルでは、1000~2000語の習得が目標になります。入門から初級レベルの人であれば、特に基本単語から抜かりなく覚えていきたいです。
このあたりの単語の習得があやふやだと、後で必ず伸び悩みます。結果として多くの労力とお金を無駄にすることになります。
入門・初級レベルの単語学習書は比較的数が多く出版されており、常に新たな切り口のものが生まれています。書店などで、いろんな本を直接手に取って選ぶことをおすすめします。
ページ数が多くて単語が充実している、軽くて持ち運びが楽、文字が大きくて見やすい、色が少なくシンプル、カラフルで見ていてあきない……。人によって好みが違いますし、自分にとっての使いやすさも異なるものです。
「イラストやデザインがかわいいので、持っているだけで気分が上がる」。これも人によっては大事なポイントでしょう。大事に思えて、使い続けられそうな本をぜひ選んでください。
ただし、音声がきちんと準備されているかはチェックするようにしましょう。
また、今使っている、あるいはこれまで使ってきた入門書や教科書を単語学習に活用するのも一つの考え方です。
きちんと企画されて作り込まれた教材、特に入門・初級レベルの教科書ならば、レベルごとに覚えなければいけない単語が会話文や例文に含まれるように配慮されているはずです。本によっては語彙リストが備わっていることがあります。
すでに使った本や教材を見返して、自分のものになっていない単語があったら、それらをカードやノートに書き出すなどして、とにかく覚えるといいでしょう。
こうした単語はその重要度もさることながら、一度習った本の中の単語だからこそ、覚えやすいものでもあります。お金の節約にもなりますね。
中級単語は多くても、まずはここが目標
先にも述べましたが、中級までの単語は、おおよそ6000語前後が目安となります。多いように感じますが、このレベルに達していない人は、とにかくこの目標を目指しましょう。
中級を対象にした学習書となると点数がぐっと減りますが、興味や学習方法に応じた、特色のある本が発行されています。
このくらいのボキャブラリーが身に付くと、込み入った韓国語の会話がかなり分かり、読書、番組の視聴などが楽になってくるので、学ぶこともどんどん楽しくなっていくはずです。逆に身に付かないと、いつまでも学習が苦行のままになってしまいます。
使っている教材や日々の学習で気が付いたらメモして、調べる形でどんどん語彙数を増やすこともできますね。目的別に単語を調べて覚えるというのも一つの方法ですね。
上級は、興味別、目的別に取り組む!
さらに上級を目指す人にとって、単語学習はかなりの部分、目的別になってくるのではないでしょうか。とにかく数が多いので、趣味や関心、興味に従って、どんどん覚えていくのが得策です。
견적(見積もり)、상계(相殺)、차감(差し引き)、매출(売り上げ)、지불액(支払額)、대차(貸借)、손익(損益)などの単語は企業経営や経理、マーケティングの分野ではおなじみですが、前述したような学習用語彙リストには含まれていないものです。
従って韓国語を生かして企業で働きたいという人は、意識的にビジネスの現場で使われる言葉を覚える必要があります。
こなれた韓国語の会話を自在に交わせるようになりたいのであれば、生活的な語彙に目を向けると同時に、慣用句や連語などの学習にも力を入れるといいでしょう。あるいは形容詞を多く覚えて、表現の幅を広げていきましょう。
検定試験の上級合格を目指すのであれば、それに沿った単語を覚える必要があります。中には「こんな単語いつ使うのかな?」という単語があるのは確かです。でも、ドラマなどを見ていて、意外とよくそういう単語に出合ったりもするんですよね。
検定試験の上級の単語は実に多様な分野から選定されています。つまり、バランスのいい語彙力が身に付くので、受検する、しないに関わらず、検定で求められる単語を覚えるという方法も実力向上のためにおすすめです。
さらに、大学や大学院に留学したいという人は、専攻に関する用語はもちろん、アカデミックな環境で使われる言葉を習得する必要があります。特に韓国では留学生向けの韓国語教材が多く出版されているので、こうした教材を取り寄せて学ぶといいです。
中級以降は単語の幅がぐっと広くなるので、漫然と取り掛かるのではなく、自分の志向も考えた上で、覚える対象を定めるといいでしょう。
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