韓国の1990年代歌謡について振り返るこの連載の最後は、アイドルグループについて取り上げます。1990年代後半に入ると、現在の韓流につながる第1世代のアイドルグループが登場するようになりました。
第1世代の男性アイドルグループ
H.O.T.
第1世代のレジェンドといえば、SMエンタテインメントからデビューした第1号アイドルグループのH.O.T.(에이치오티、エイチオーティー)。
男性5人組のこのグールプのヒット曲は数知れず。特に有名なのは「캔디(キャンディ)」「행복(幸せ)」「빛(光)」で同世代を生きた人たちなら知らない人はいないと言えるほどの名曲です。
Sechs Kies
そのH.O.T.に対抗するように現れたのが、Sechs Kies(젝스키스、ジェクスキス)。H.O.T.が5人組なのに対し、対抗心の表れからかこちらは6人組編成です。
DSPメディアからデビューし、ヒット曲に「기사도(騎士道)」「커플(カップル)」などがあります。H.O.T.と共に当時の韓国アイドル界の二大巨頭となり歌謡界を席巻しました。
SHINHWA
SMエンタテインメントからはさらにSHINHWA(신화、神話)がデビュー。
クラシックの「白鳥の湖」のメロディーから始まるイントロが印象的な「T.O.P.」をはじめ数々のヒット曲を世に送り出しました。その後SMエンタテインメントを離れましたが、現在に至るまで活動を続けている長寿グループです。
god
さらに、1990年代後半を語るのに欠かせないアイドルグループにgod(지오디、ジーオーディー)が挙げられます。
サイダスからデビュー後、JYPエンターテインメントに移籍し「어머님께(お母さまへ)」が空前の大ヒット。涙を誘う歌詞とミュージックビデオが大変話題になりました。
第1世代の女性アイドルグループ
S.E.S.
女性グループでは、SMエンタテインメントからデビューした3人組のS.E.S.(에스이에스、エスイエス)。
「I’m Your Girl」「Dreams come true」をはじめとするたくさんの曲がヒットし、韓国の女性アイドルグループの礎を築きました。
彼女たちは、日本進出第1号の韓国アイドルとしても有名です。進出は失敗に終わりましたが、その時の経験が、のちのアイドルたちの日本進出を成功へ導いたと言っても過言ではないでしょう。
Fin.K.L
H.O.T.に対抗して1人多いメンバー構成で젝스키스をデビューさせたDSPは、同じ手法で4人組の女性グループFin.K.L(핑클、ピンクル)をデビューさせます。
代表曲は「내 남자 친구에게(私の彼氏に)」や「영원한 사랑(永遠の愛)」など。
メンバーの이효리(イ・ヒョリ)は後に、ソロとして歌はもちろんバラエティーでも大活躍。옥주현(オク・チュヒョン)はミュージカル女優として現在に至るまで第一線で活躍するなど、韓国のエンターテインメント界においてなくてはならない存在です。
Baby V.O.X
そして、S.E.S.やFin.K.Lよりも、少しだけデビューの早かったBaby V.O.X(베이비복스、ベイビーボックス)も、1990年代後半のアイドルグループを語るのには欠かせない存在です。
デビュー時のメンバーの入れ替えがあり、5人組となったのが2集から。その後「Ya Ya Ya」や「Get Up」のヒットを出し、第1世代アイドルの中で最も長く活動したグループとなりました。
この1990年代後半には、どのアイドルグループにも熱狂的な10代ファンたちがつき、応援合戦を繰り広げました。その様子は、現在のK-POPブームにつながるムーブメントと言えます。
BTSやBLACKPINK、TWICE、NewJeansなど、今や世界的な人気を誇るようになったK-POPアイドルの源流が、まさに今回紹介した1990年代後半の第1世代グループにあります。聞いてみてはいかがでしょうか?
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