無鉄砲なベテラン刑事が巨大企業グループの御曹司と対決する痛快なストーリー展開とアクションが人気を呼び、韓国で1340万人という観客数を動員した大ヒット作『베테랑(ベテラン)』(2015)。
その待望の続編『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』が完成し、日本でも公開される。
前作に続いて演出を担当した류승완(リュ・スンワン)監督と主演の황정민(ファン・ジョンミン)、新たに合流した정해인(チョン・ヘイン)が揃った4月3日の来日記者会見でのコメントを交えながら、作品を紹介していきたい。

9年ぶりに戻ってきた刑事ソ・ドチョル

卑劣な行動によって教え子を死に追いやった過去を持つ大学教授がまるで“公開処刑”のように殺される事件が発生。
捜査に着手した서도철(ソ・ドチョル)と同僚たちは、自身の罪に見合った罰を受けていない犯罪者たちをターゲットにした連続殺人事件ではないかと疑い出す。
独自の正義にもとづいて行動する容疑者はネット上で“해치(ヘチ)”と呼ばれ、ヒーローのようにもてはやされていた。
ドチョルたちは次なる目標とされる전속우(チョン・ソグ)の身辺を守るため、警護を開始。人手不足を補うため、ドチョルを信奉する新人박선우(パク・ソヌ)がチームに加わる。
コロナ以降、元気のない韓国映画界にあって、実話をもとにした『모가디슈(モガディシュ 脱出までの14日間)』(2021)、『밀수(密輸1970)』(2021)と、パワーあふれる作品を作り続けてきたリュ・スンワン。
初めてのシリーズものとなった今作について「『ベテラン』よりもさらにいい作品を作らなければいけないというプレッシャーがあったので、着手するまでに少し時間がかかってしまいました。
ただ、(実際にはじめてみると)9年ぶりではなく、9日ぶりに撮っているような気持ちがして、とてもうれしかったです」と語った。

時代を反映する正体不明の犯人との攻防

作品のなかでも9年という月日が流れている。小学生だったソ・ドチョルの息子は高校生となり、同級生たちから暴力をふるわれているが父にそのことを伝えることができない。
また、SNSや動画投稿サイト全盛の時代となり、警察は無数のスマートフォンに監視されながら、捜査を行わなければならない。
ネット番組の司会者から善悪を裁く伝説上の生き物にちなんで“ヘチ”と名付けられた犯人も正体不明で、昔ながらのスタイルを貫いてきたドチョルのストレスは高まるばかりだ。
一方で、変わらないのがリュ・スンワン監督のトレードマークともいえるアクションシーン。
裕福な女性たちが集まる賭博場に踏み込むコミカルなオープニングから、ソウルの南山公園の階段を使った追跡シーン、さらには雨のなかで行われた屋上での対決など、様々な場所を生かした迫力のあるアクションが次々と登場する。
ファン・ジョンミンは極寒のなかで行われた屋上での撮影が最も印象に残っていると振り返り、「正直言ってその時は、アクションがうまく撮れるとか撮れないとかそういうことにはまったく関心がなくて、ただ寒すぎて、とにかくこの撮影を終え早くシャワーを浴びて家に帰りたい。そのことばかり考えていました」と笑わせた。
チョン・ヘインが見せる新たな一面

新メンバーであるパク・ソヌを演じたチョン・ヘインは「前作の『ベテラン』が多くの方に愛された作品でしたので、とても緊張していましたが、ファン・ジョンミン先輩のおかげで早く現場に溶け込むことができました。
作品に対してのプレッシャーを感じることなく、演技だけに集中できるように助けていただきました」と、感謝の言葉を口にした。
それに対してファン・ジョンミンも「ヘインさんがこの作品に参加するという話を監督から聞いたとき、両手を高く掲げて拍手をした記憶があります」と笑顔を見せた。
最新ドラマ『엄마친구아들(となりのMr.パーフェクト)』のタイトル通り、엄친아(엄마친구아들〈お母さんの友達の息子〉の略語/性格がよくてなんでも完璧にこなす人を指す)の印象が強かったチョン・ヘインが、これまでとは違う一面を見せているのも見どころの今作。
ベテラン刑事ソ・ドチョルと仲間たちの活躍を見守ってほしい。
来日記者会見 ジャパンプレミアの様子






『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』
原題:베테랑2
公開:(韓国)2024年9月13日(日本)2025年4月11日
監督:リュ・スンワン
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ヘイン、アン・ボヒョン、オ・ダルス
■配給
KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
■公開情報
4月11日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
■クレジット
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