映画俳優として主演シリーズを持つだけでなく、助演としてもドラマ、映画に顔を見せ、趣味のキャンピング技術を生かしたバラエティー番組にも出演と、ここ数年、活躍が目立つ라미란(ラ・ミラン)。
実話を基にした『시민덕희(市民捜査官ドッキ)』でも、正義感と行動力で予想もできなかったことを成し遂げる無名の女性を力強く演じている。
自分をだました相手からかかってきた電話の内容は?
火事で家を焼かれた上、わらをもつかむ気持ちで頼った銀行員をかたる男の口車に乗せられて詐欺に遭い、3200万ウォンを失ってしまった덕희(ドッキ)。
警察にも取り合ってもらえず、絶望していた彼女の元に、自分をだました「손(ソン)代理」から再び電話がかってくる。
「組織の情報を提供するので警察に届けてほしい」という彼の言葉をなかなか信じられないドッキだったが、「コールセンターの住所さえ分かれば捜査できる」という박(パク)刑事の言葉を思い出し、봉림(ボンリム)ら友人たちと共に、コールセンターのある中国・青島へと向かう。
2016年に起きた映画のような実話がベース
2016年に振り込め詐欺の被害に遭った後、自ら証拠となる資料を入手して捜査機関に提供し、犯人逮捕に貢献した김성자(キム・ソンジャ)さん。
この映画は彼女の体験に、「証拠をつかむため仲間と共に中国に渡る」といったドラマティックな設定を加味して作られた。2024年1月に韓国で封切られると、約3週間かけて観客動員100万人を突破。
それまであまり見られなかった「長期持続型」の興行が話題となった。
映画のヒットを受けて事件にも再び注目が集まり、8月にはキム・ソンジャさんに対し国民権益委員会から申告報奨金5000万ウォンが支給されることになった。
振り込め詐欺をモチーフとした映画としては、변요한(ピョン・ヨハン)扮する被害者が中国にあるコールセンターに侵入し、元締めと死闘を繰り広げる映画『보이스(声 姿なき犯罪者)』(2021)も記憶に新しい。
コールセンターの規模がより大きかったり、派手なアクションシーンが多かったりと違いもあるが、若者たちが強制的に働かされている様子などは『市民捜査官ドッキ』と共通していた。
独自の道を切り開く俳優ラ・ミラン
ドッキ役のラ・ミランは박찬욱(パク・チャヌク)監督の『친절한 금자씨(親切なクムジャさん)』(2005)で注目されて以降、助演俳優として多くの作品に出演。
大ヒットドラマ「응답하라 1988(恋のスケッチ〜応答せよ1988〜)」で強烈な印象を残し、2019年の『걸캅스(ガール・コップス)』でついに映画主演を果たした。
青龍賞主演女優賞に選ばれた『정직한 후보(正直政治家 チュ・サンスク)』(2020)は2022年に続編も作られている。
2024年は話題のドラマ「정년이(ジョンニョン:スター誕生)」や旅行バラエティー『텐트 밖은 유럽(テントの外はヨーロッパ)』などでも多彩な魅力を発揮。
40代の女性俳優として、世界的にも珍しいキャリアを築いている。
共演俳優にも、今の韓国を代表する俳優たちがそろっている。中国出身のボンリム役はドラマ「마스크걸(マスクガール)」で数々の賞に輝いた염혜란(ヨム・ヘラン)。
推し活で磨いたカメラの腕で、ドッキとボンリムを助ける숙자(スッチャ)役をモデル出身でドラマ「눈물의 여왕(涙の女王)」にも出演していた장윤주(チャン・ユンジュ)、ドッキの人柄を信じ、電話をかけてくるソン代理を『한산: 용의 출현(ハンサン 龍の出現)』(2022)の공명(コンミョン)が演じている。
ボンリムの妹애림(エリム)役でドラマ「연인(恋人)」の안은진(アン・ウンジン)が出ているのも豪華だ。
一市民として平凡な人生を歩んできた彼女たちが見せるチームワークに力づけられる。