教保文庫の2024年3月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。先月注目の新刊で取り上げた최진영(チェ・ジニョン)の『오로라(オーロラ)』が6位にランクインしました。9位の『메리골드 마음 세탁소(マリーゴールド町 心の洗濯屋さん)』は邦訳版が刊行され、ランキング10位以内に日本語でも読める作品が多くなりました。
※ランキング記事ではハングルのルビを省略します。
教保文庫ベストセラー月間ベスト10(韓国の小説)
1位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)
양귀자(梁貴子)著/쓰다(スダ)/2013.4.1
2位:『구의 증명(クの証明)』
최진영(チェ・ジニョン)著/은행나무(銀杏ナム)/2023.4.26
3位:『불편한 편의점(不便なコンビニ)』(桜エディション)
김호연(キム・ホヨン)著/나무옆의자(ナムヨップ椅子)/2021.4.20
4位:『메리골드 마음 사진관(マリーゴールド町 心の写真館)』
윤정은(ユン・ジョンウン)著/북로망스(ブックロマンス)/2024.1.12
5位:『아주 희미한 빛으로도(ほんのかすかな光でも)』
최은영(チェ・ウニョン)著/문학동네(文学トンネ)/2023.8.7
6位:『오로라(オーロラ)』
최진영(チェ・ジニョン)著/위즈덤하우스(ウィズダムハウス)/2024.2.21
7位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』
정해연(チョン・ヘヨン)著/엘릭시르(エリクシル)/2021.7.26
湖で一人の男が死体を遺棄する。男は教師、遺棄された死体は男の生徒で二人は不適切な関係にあった。恋愛小説家としてデビューし数々の賞を受賞した後、近年はミステリー小説を多数発表し人気を博している作家チョン・ヘヨンの予測不可能、大どんでん返しのミステリー小説です。
8位:『채식주의자(菜食主義者)』
한강(ハン・ガン)著/창비(チャンビ)/2022.3.28
(邦訳版『菜食主義者』〈きむ ふな訳/クオン〉)
9位:『메리골드 마음 세탁소(マリーゴールド町 心の洗濯屋さん)』(30万部記念限定フラワーエディション)
윤정은(ユン・ジョンウン)著/북로망스(ブックロマンス)/2023.3.6
10位:『마지막 마음이 들리는 공중전화(最後の心が聞こえる公衆電話)』
이수연(イ・スヨン)著/클레이하우스(クレイハウス)/2024.1.15
注目の新刊
『다 하지 못한 말(言い尽くせなかった言葉)』
임경선(イム・キョンソン)著/토스트(トースト)/2024.3.20
恋愛中に相手の反応を気にして言いたいことを言えずにため込んでしまった経験はありませんか? 会社員として自立し順調な社会生活を営む誠実な主人公女性の「私」は、芸術家として壁にぶつかったピアニストの「あなた」に出会って恋に落ちるも別れを迎えます。本書は、恋に破れた主人公の「私」が恋愛の痛みと恍惚を回顧しながら、相手に伝えることができなかった言葉の数々を日記や独り言として吐き出し心の傷を癒やしていく物語です。恋に傷ついた人を癒やしてくれる作品。著者イム・キョンソンの邦訳作品として、エッセー『村上春樹のせいで』(渡辺奈緒子訳/季節社/2020)があります。
『원도(ウォンド)』
최진영(チェ・ジニョン)著/한겨레출판사(ハンギョレ出版社)/2024.3.30
今月のベスト10に『クの証明』、『オーロラ』がランクインしている作家チェ・ジニョンが2013年に刊行した3作目の長編小説『나는 왜 죽지 않았는가(私はなぜ死ななかったのか)』を、11年ぶりにタイトルも新たにして復刊した改訂版です。ロングセラーとなっている『クの証明』の直前作ということでも読者の注目を集めています。
『2024 제15회 젊은작가상 수상작품집(2024第15回若い作家賞受賞作品集)』
김멜라 , 공현진 외(キム・メルラ、コン・ヒョンジン他)著/문학동네(文学トンネ)/2024.3.31
2010年の制定以来、読者の熱い視線を集めてきた「若い作家賞」の受賞作品集です。2021年から毎年同賞を受賞し今回ついに大賞に輝いたキム・メルラの「이응 이응(イウンイウン)」をはじめ、韓国で活躍中の若手作家による7編の短編小説が収められています。
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