文学作品には、言葉だけでなく、韓国の文化、思想、習慣などが息づいています。韓国の児童文学は、子どもたちが楽しみながら文化や価値観を学ぶための理想的な手段となっており、韓国語学習者にとっても非常に魅力的なツールです。
この記事では、韓国語学習者に特におすすめしたい韓国人作家の作品をご紹介します。
記事の目次
마당을 나온 암탉(庭を出ためんどり)
황선미(黄善美)著
童話作家황선미の作品。『마당을 나온 암탉』は自由への意志と母性愛をニワトリの話を通して解釈した面白い作品。他にも、代表作に『나쁜 어린이표(悪い子ども印)』がある。
몽실언니(モンシル姉さん)
권정생(権正生)著
권정생は韓国の代表的な児童文学者の一人。『몽실언니』は朝鮮戦争で両親を亡くした몽실が腹違いの妹を育てる過程で経験する苦難と成長を描いた作品。『강아지똥(こいぬのうんち)』も彼の原作。
소나기(にわか雨)
황순원(黄順元)著
小説技法の美しさを惜しみなく見せてくれる황순원。少年と少女が登場する小説で韓国人の頭の中にまず思い浮かぶ作品が、この『소나기』だ。時代と世代を問わず、依然として多くの人に感動を与えている。
사랑 손님과 어머니(離れの客とお母さん)
주요섭(朱耀燮)著
주요섭は1902年生まれ。名作『사랑 손님과 어머니』は1930年代の作品だが、6歳の子どもの独白形式で、未亡人の母と離れに住む客の愛情心理を描き、今もなお読み継がれている。
우리들의 일그러진 영웅(われらの歪んだ英雄)
이문열(李文烈)著
이문열は当代最高の作家とたたえられた作家。『우리들의 일그러진 영웅』は1987年に이상문학상(李箱文学賞)を受賞。地方都市の小学校で子どもたちの間に起きる事件を通じて、権力争い、支配と服従などの構造が出来上がり、崩れる様を描いた作品。
쌍무지개 뜨는 언덕(二重虹の出る丘)
김내성(金来成)著
김내성は1909年生まれ。韓国では「推理文学の父」と呼ばれる。大衆小説分野を開拓。少年少女小説を多数発表し爆発的な人気を得た。『쌍무지개 뜨는 언덕』はそれぞれ異なる環境で育った双子の姉妹が、ある日鍾路で偶然出会い、起こる出来事が描かれている。
오세암(五歳庵)
정채봉(丁埰琫)著
정채봉は、韓国を代表する童話作家。代表作『오세암』は5歳の子どもが大雪の中で一人寺に残っていたところ、観音様のご加護で助かり、後に仏になった伝説を扱った内容だ。
今回ご紹介した作品は、韓国の子どもたちに今なお愛され続けており、感動的なストーリーや大切な教訓が描かれています。韓国の人たちが子どもの頃から慣れ親しんだ作品を原文で読むことで韓国の文学と文化に触れ、韓国語のスキルを向上させられるだけでなく、豊かな人生への一歩を踏み出すことができるでしょう。
この記事が掲載されている書籍
「韓国語の本を楽しむ」
定価:1518円(本体1380円+税10%)