教保文庫の2023年12月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。「이상한 변호사 우영우(ウ・ヨンウ弁護士は天才肌)」などのドラマで日本でも知られるようになった俳優문상훈(ムン・サンフン)のエッセイ集が1位にランクインしました。注目の新刊では、『愛のあとにくるもの』(きむ ふな訳、幻冬舎)などの邦訳書で知られる공지영(コン・ジヨン)のエッセイ集を紹介しています。
※ランキング記事ではハングルのルビを省略します。
記事の目次
- 教保文庫ベストセラー月間ベスト10(韓国のエッセイ)
- 1位:『내가 한 말을 내가 오해하지 않기로 함(僕が言った言葉を僕が誤解しないようにすること)』
- 2位:『인생은 순간이다(人生は瞬間だ)』
- 3位:『하는 일마다 잘되리라(やることすべてが上手くいくはず)』
- 4位:『내가 생각한 인생이 아니야(僕が思っていた人生じゃない)』
- 5位:『사랑에 관한 거의 모든 기술(愛に関するほとんどすべての技術)』
- 6位:『나는 메트로폴리탄 미술관의 경비원입니다(私はメトロポリタン美術館の警備員です)』
- 7位:『전지적 푸바오 시점(全知的なフーバオの視点)』
- 8位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』
- 9位:『나 혼자 슬퍼하겠습니다(私一人で悲しみます)』
- 10位:『당신은 결국 무엇이든 해내는 사람(君は結局何でもやり遂げる人)』(10万部記念特別リカバーエディション)
- 注目の新刊
教保文庫ベストセラー月間ベスト10(韓国のエッセイ)
1位:『내가 한 말을 내가 오해하지 않기로 함(僕が言った言葉を僕が誤解しないようにすること)』
문상훈(ムン・サンフン)著/위너스북(ウィナーズブック)/2024.01.05
著者はYouTubeチャンネル「BDNS」を運営するユーチューバーで、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」「D.P. -脱走兵追跡官-」などに出演した俳優としても知られています。誤解さされることを恐れて書くことを避けてきた彼ですが、このままでは心に「何も芽生えない」と感じ、2年にわたって文章を書き溜めてきました。本書の完成と同時に「自分の言葉を一番誤解していたのは自分自身だった」と気づき、このタイトルをつけたそうです。
2位:『인생은 순간이다(人生は瞬間だ)』
김성근(キム・ソングン)著/다산북스(タサンブックス)/2023.11.15
3位:『하는 일마다 잘되리라(やることすべてが上手くいくはず)』
전승환(チョン・スンファン)著/북로망스(ブックロマンス)/2023.11.13
4位:『내가 생각한 인생이 아니야(僕が思っていた人生じゃない)』
류시화(リュ・シファ)著/수오서재(守吾書斎)/2023.12.21
『君がそばにいても僕は君が恋しい』(蓮池薫訳、集英社クリエイティブ)や『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』(オ・ヨンア訳、東洋経済新報社)などの邦訳書で知られる著者による新作エッセイ集です。「僕が思っていた人生じゃない」「自分の好きな色で自分を定義しろ」「プランAは僕の計画、プランBは神の計画」など、人生を語る42編が収録されています。
5位:『사랑에 관한 거의 모든 기술(愛に関するほとんどすべての技術)』
김달(キム・ダル)著/빅피시(ビックフィッシュ)/2023.12.07
ベストセラー作家でありYouTubeで「キム・ダルの恋愛学概論」を運営する著者による「愛」についてのエッセイです。「互いを知る過程で覚えておくべきノウハウ」「ケンカや別れの中でも自分の心を守る方法」「よりを戻したい時に試せるたった一つの技術」など、恋愛が下手で、別れがつらくて、結婚を目前にして躊躇してしまう、そんな人たちに贈る現実的かつ効果的なアドバイスが詰まっています。
6位:『나는 메트로폴리탄 미술관의 경비원입니다(私はメトロポリタン美術館の警備員です)』
패트릭 브링리(パトリック・ブリングリー)著、김희정(キム・ヒジョン)・조현주(チョ・ヒョンジュ)訳/웅진지식하우스(ウンジン知識ハウス)/2023.11.24
家族の死をきっかけに生きる意欲を失った著者は、誰もがうらやむ職場を捨てて、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館の警備員として働きはじめます。世界的に有名な芸術作品に囲まれた職場で移民者や作家など多様な背景を持つ同僚と交流しながら、日常の矛盾やつまらなさ、美しさに再び気づいて人生のリズムを取り戻していく過程が綴られています。出版されるやいなや『ニューヨークタイムス』や『ワシントンポスト』『AP通信』などで称賛を浴び、40週連続ベストセラーにもなった話題の一冊です。
7位:『전지적 푸바오 시점(全知的なフーバオの視点)』
송영관(ソン・ヨングァン)著、류정훈(リュ・ジョンフン)写真/위즈덤하우스(ウィズダムハウ)/2023.11.15
8位:『기분이 태도가 되지 말자(気分が態度にならないように)』
김수현(チェ・ジョニョン)著/하이스트(ハイスト)/2022.11.25
9位:『나 혼자 슬퍼하겠습니다(私一人で悲しみます)』
정경심(チョン・ギョンシム)著/보리출판사(ポリ出版社)/2023.11.27
著者は東洋大学の教授でしたが、2019年に娘の入試不正事件などで有罪判決を受けてソウル拘置所に収監されました。日本では「チョ・グク元法務大臣の妻」と言えばわかる人も多いと思います。本書には、独房での過ごした1152日間に書き留めた手紙や日記、生活の記録、自身の内面を振り返る文章が収められています。
10位:『당신은 결국 무엇이든 해내는 사람(君は結局何でもやり遂げる人)』(10万部記念特別リカバーエディション)
김상현(キム・サンヒョン)著/필름(Feelm)/2022.04.20
注目の新刊
『남에게 좋은 사람보다 나에게 좋은 사람(他人にとって良い人よりも私にとって良い人)』
조원희(チョ・ウォニ)著/필름(Feelm)/2023.11.14
10位にランクインしている『君は結局何でも成し遂げる人』(未邦訳)など数多くのベストセラーを生み出しているFeelmからの出版ということで注目を集めている一冊です。著者は、人間関係に疲れて生きる気力を失っていた時に、ごちゃごちゃになった感情を書き出しながら解決法を探しました。本書ではその時に導き出した結論を元に「人生の主体を他人ではなく自分に置くべき理由」「人生の優先順位を探す方法」などを提示しています。
『너는 다시 외로워질 것이다(あなたはまた寂しくなるはずだ)』
공지영(コン・ジヨン)著/해냄출판사(ヘネム出版社)/2023.12.22
『愛のあとにくるもの』(きむ ふな訳、幻冬舎)や『トガニ:幼き瞳の告発』(蓮池薫訳、新潮社)、『オルガンのあった場所』(きむ ふな訳、クオン)などで知られる著者のエッセイ集です。3年前にソウルを離れた著者は燃え尽き症候群に陥りました。再び文章を書けるようになるのかと悩む中で、ふと巡礼の旅に出ることを決意します。本書は、2022年の秋から始まった旅を通じて「寂しさとは単純な孤立や断絶ではなく、古い過去と別れて真の自由に向かうための過程だ」と気づいた著者が再びペンを執る力を得るまでの記録です。
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