韓国語には4つの用言、つまり動詞、形容詞、指定詞、存在詞があると習った人は多いでしょう。ですが、韓国に留学すると、指定詞や存在詞という名前は出てきません。この2つはどこに行ったのでしょうか?
韓国では、用言は「動詞」「形容詞」の2つだけ
韓国語の文法体系にはいくつか種類があり、それによって用言の分類方法も異なります。
韓国の語学学校で一般的に教えられる文法では、用言は動詞と形容詞の2つに分けられます。있다(ある・いる)、없다(ない・いない)、아니다(〜でない)は形容詞に含まれ、~이다(〜である)は名詞に直接付くという特徴から助詞の仲間に含まれています。
しかし、있다、없다、아니다はそれぞれ一般的な形容詞とは異なる活用をするので、純粋な形容詞と見なすのは難しいのです。どのように異なるのか見ていきましょう。
存在詞(있다、없다)の特徴
まず있다と없다の2語は、場合によって動詞に付く語尾を取ったり、形容詞に付く語尾を取ったりします。つまり、動詞と形容詞の中間に位置しています。
どのように活用するのか、活用形ごとに示してみましょう。
動詞 | 있다・없다 | 形容詞 | |
現在連体形 | 먹는 | 있는・없는 | 작은 |
-는데/(으)ㄴ데 | 먹는데 | 있는데・없는데 | 작은데 |
-는군/군 | 먹는군 | 있군・없군 | 작군 |
-는다/다 | 먹는다 | 있다・없다 | 작다 |
太字になっている部分が、共通の形になっています。上の表を見ると、例えば現在連体形では動詞と있다・없다に同じ語尾-는が付きますが、-는군/군では形容詞と있다・없다に同じ語尾-군が付くということです。
またそれ以外に、있다については命令形語尾を付けて있어라、勧誘形語尾を付けて있자などの形を作ることができます(없다の場合は不可能)。
この点でも、動詞に近い性質を持っています。形容詞は普通、命令形や勧誘形にすることができません。
있다や없다は、動詞っぽいところがある形容詞と言えるね!
指定詞(아니다、이다)の特徴
아니다は形容詞とほぼ同じ活用をしますが、平叙文の引用形と、-아/어で始まる語尾が付くときに特殊な形が出てきます。
形容詞との違いを見てみましょう。形容詞の例として、어리다の活用を出してみます。
어리다 | 아니다 | |
平叙文の引用形 | 어리다고 | 아니라고 |
-아서/어서 | 어려서 | 아니라서(아니어서) |
-아요/어요 | 어려요 | 아니에요(아니어요) |
パンマル | 어려 | 아니야 |
太字部分が、形容詞とは違う特殊な形です。もし形容詞と同じであれば、아니다고や아녀서などのようになるはずですが、そうなっていません。
また~이다は、上で書いた通り韓国では一般的に助詞とされていますが、아니다とまったく同じように活用します。活用が同じという点に注目して、~이다を用言と見なし、아니다と~이다を1つのグループにまとめることができます。
一方、韓国の文法では、~이다はちょっと特殊な「活用する助詞」として扱われているよ。
これらの点を考慮して、日本では、韓国語の用言を動詞・形容詞・存在詞(있다、없다)・指定詞(~이다、아니다)の4つに分ける考え方が広く使われているわけです。
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