韓国に限らず、多くの映画やドラマのテーマとなってきた初恋。
『私たちは天国には行けないけど、愛することはできる』は、どんなにつらい状況にあっても、誰かを愛することによって、明日への希望をつなぎ止めようとするような10代の女性たちの物語だ。
苦しみのなかで出会ったかけがえのない存在

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高校のテコンドー部に所属し、厳しい練習に追われている주영(ジュヨン)は、コーチから突然、階級を上げるように言われたため、増量にも苦しんでいた。
そんなジュヨンの家で少年院から家庭体験プロジェクトに参加する예지(イェジ)をしばらく受け入れることになる。
やってきた彼女の顔を見たジュヨンは、街で先輩たちの暴行を受けていた自分を助けてくれた人物であることに気づいて驚く。
母にも言えない悩みを抱えたジュヨンと社会から冷たい視線を受け続けてきたイェジは、やがて互いを掛け替えのない存在だと思うようになっていく。
名作ドラマとも重なる90年代の青春

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「この世が終わってしまうかもしれない」と多くの人たちが不安を抱えていた99年を舞台に、当たり前のように暴力が振るわれていた高校の運動部の裏側や、学校からドロップアウトしてしまったティーンエージャーの苦しみ、そして、女性同士の初恋を細やかに見せる。
同じ時代を背景としたドラマ『스물다섯 스물하나(二十五、二十一)』や『응답하라(応答せよ)』シリーズなどと比較してみると、当時の雰囲気をより深く知ることができるだろう。
また、タイトルもどこか響き合う映画『지옥만세(地獄でも大丈夫)』(23)とは、人生に絶望した高校生たちが力を合わせて次のステップへと進み出そうとする姿に共通点を感じる。
実力ある若手俳優たちが共演

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母親とふたり暮らしのテコンドー選手ジュヨンに扮しているのは、90年代を生きる中学生が主人公だった『벌새(はちどり)』(19)で、高校生の姉を演じていた박수연(パク・スヨン)。
「タイトルを聞いてすぐに好奇心が湧いた」と語る彼女は、小中学生時代にテコンドーの経験があったが「いざトレーニングを始めたら体はすっかり忘れていました(笑)」とのことで、アクションスクールに通って撮影に備えたそうだ。

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一方、イェジ役は『오징어 게임(イカゲーム)』への出演で大きく注目され、ドラマ『힘쎈여자 강남순(力の強い女カン・ナムスン)』で主演俳優の仲間入りを果たした이유미(イ・ユミ)。
脚本を読み「気持ちのよい童話のように感じた」という彼女は、暗い中にも光を放つ魅力的なキャラクターになりきっている。
さらに、ジュヨンのチームメイトで国家代表となることを母親に強要されて苦しむ성희(ソンヒ)を신기환(シン・ギファン)、ジュヨンの親友で彼女よりも先にイェジに惹かれる(けれど、すぐに他の人に目移りする)민우(ミヌ)を『사랑은 외나무 다리에서(愛は一本橋で)』(24)の김현목(キム・ヒョンモク)が演じている。
見終わった後、「ジュヨンとまわりの若者たちがそれぞれの形で幸せに成長していきますように」と祈りたくなる作品だ。

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原題:우리는 천국에 갈 순 없지만 사랑은 할 수 있겠지
邦題:私たちは天国には行けないけど、愛することはできる
公開:(韓国)2024年10月16日(日本)2025年2月28日
監督:ハン・ジェイ
出演:パク・スヨン、イ・ユミ、シン・ギファン、キム・ヒョンモク