韓国の2週間の出来事をピックアップして紹介するコーナー。今回は、12月7日から20日までの出来事から、以下の三つのニュースをご紹介します。
韓国の放送各社が公式YouTubeで提供するニュース動画もぜひご覧ください!
尹錫悦大統領に対する弾劾が可決
12月3日に突然の非常戒厳を宣言した윤석열(尹錫悦)大統領に対する「2回目」の弾劾訴追案が、14日、国会で可決されました。
定数300人の3分の2、つまり200人以上の賛成が必要でしたが、賛成が204、反対85、棄権3、無効8という結果になりました。野党の議席が192なので、与党국민의힘(国民の力)から少なくとも12人が賛成した計算になります。
弾劾訴追案の可決によって尹大統領は職務停止となり、憲法裁判所が180日以内に弾劾(罷免)について妥当性を審判します。弾劾訴追案が可決されたのは、노무현(盧武鉉)大統領、박근혜(朴槿恵)大統領に続いて3人目で、大統領代行は한덕수(韓悳洙)総理が務めます。
来年1月20日には米国で트럼프(トランプ)政権が発足しますが、南北関係や経済、在韓米軍駐留費用にも大きな影響が予想されるため、大統領不在の中、どう対応するのか、難局が待ち受けています。
可決した瞬間、国会議事堂周辺で採決の行方を見守っていた人々から歓声が上がりました。そして間もなく人々が歌い出したのが、소내시대(少女時代)のデビュー曲「다시 만난 세계(また巡り逢えた世界)」です。「반복되는 슬픔 이젠 안녕(繰り返される悲しみ もうさよなら)」という歌詞が印象的でした。
今回、国会議事堂前に集まったのは10代、20代の女性が多く、さまざまなアーティストの응원봉(ペンライト)を振りK-POPを歌いながらデモに参加する光景が見られました。
また、現場には駆けつけられないけれどデモを応援したい人の「선결제(先払い)」文化も生まれました。応援したい人がオンラインで国会議事堂近くの店の飲み物や軽食を決済すると、地図アプリに先払いされた飲食物のリストが載ります。デモ参加者がそこを訪ねて、それを差し入れとしてもらえるという仕組みです。
曺国元法相の実刑が確定、収監へ
12月12日、韓国の대법원(最高裁判所)は、子どもの不正入学疑惑などに関する11の罪に問われていた조국(曺国)元法相の上告を棄却しました。これにより、懲役2年、追徴金600万ウォン(約65万円)の実刑が確定し、曺国氏は16日に収監されました。
曺国氏は문재인(文在寅)政権下の2019年9月、法相に就任しましたが、子どもの不正入学疑惑が持ち上がり、わずか1カ月で辞職。同年12月、私文書偽造や業務妨害などの容疑で起訴されました。
23年2月の一審で有罪が言い渡され控訴する一方で、今年4月に行われた国会議員選挙では曺国氏は自らを党首とする「조국혁신당(祖国革新党)」を創設。同党は12議席を獲得して野党第2党に躍り出ました。
しかし、今回実刑が確定したことで、曺国氏は国会議員の資格を失います。刑を終えても5年間は被選挙権がなく、その間は国会議員選挙や大統領選挙に出馬できません。
ハン・ガンさん、ノーベル賞授賞式出席
한강(ハン・ガン)さんは12月10日、スウェーデン・ストックホルムで開催されたノーベル賞授賞式に出席し、ノーベル文学賞のメダルと証書を受け取りました。
続けて行われた晩餐会でハン・ガンさんは、「8歳の頃、大雨に降られて友達と雨宿りをした」経験から始まる4分ほどのスピーチを英語で行いました。「通りの向こうで雨宿りをしている人を見て、誰もが『私』として生きている」ことに気づき、驚いた瞬間だったと語るハンさん。
「言葉がそんな『私』たちを繋ぎ、その言葉を用いる文学には必然的に体温が宿り」、したがって「文学作品を読んだり書いたりすることは、生命を破壊するあらゆる行為に反対する立場にある」とスピーチを締め括りました。
ノーベル賞授賞式を前に、ハン・ガンさんはストックホルムで自らの作家生活を振り返る講演を韓国語で行いました。こちらも8歳の頃の思い出から始まります。講演タイトルは「빛과 실(光と糸)」です。こちらの動画も紹介しますので、ぜひご覧ください。
韓さんのニュース+α「国会前のデモ参加者に「先払い」で差し入れをしたアーティスト」
1番目に取り上げたニュースに関するクイズです。「先払い」をして、今回の国会前のデモ参加者に、パン200個、飲み物200杯、국밥(クッパ)200杯などを差し入れたアーチストは誰でしょう?
歌手のIU(아이휴、アイユー)です。IUは以前よりさまざまな慈善団体に多額の寄付を行っていることで有名です。「先払い」による差し入れは著名人だけでなく、韓国在住の外国人や海外で暮らす韓国の人からもあったそうです。
今回紹介した3つのニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画をぜひ聞き取り練習に生かしてみてください。
今回紹介したニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画はいずれも2分前後のものです。聞き取り練習にぜひ生かしてみてください。