『韓国語学習ジャーナルhana Vol. 54』の「Person(パーソン)」ページ(P.004)で、韓国の本を翻訳出版する株式会社クオンの代表・金承福さん、版権業務を担当する伊藤明恵さん、広報・イベント企画を担う佐々木静代さんの3名、名付けて「チーム・クオン」の皆さんにお話を伺いました。
ハン・ガンさんのノーベル文学賞で、ますます注目を浴びる韓国文学。昨年は本屋大賞の翻訳部門で1位に『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著、牧野美加訳、集英社)、3位に『不便なコンビニ』(キム・ホヨン著、米津篤八訳、小学館)が選ばれるなど、まさに旋風を巻き起こしています。
その渦巻きの中心にいるのが、株式会社クオンです。
クオンの佐々木静代さんより『hana』読者の皆さんに音声メッセージが届いています。
韓国語学習者の皆さんへ:佐々木静代さんから音声メッセージ
音声メッセージを文字で読む
『hana』読者の皆さまアンニョンハセヨ?
今回『hana』54号の「パーソン」ページでご紹介いただきました佐々木静代です。出版社クオンと韓国書籍専門書店CHEKCCORIの宣伝広報を担当しています。
突然ですが、皆さんは韓国語の原書作品を読んだことはありますか?
ここでちょっと、私がまだ韓国語の実力がおぼつかなったときの短編小説一冊を読み切った体験をご紹介します。
以前、小説家のチェ・ウニョンさんがチェッコリに遊びに来てくれたのですが、ウニョンさんがウリサジャニム、金承福さんに[그 여름 The summer」(あの夏)という短編小説をプレゼントしてくださったんです。
それを早速読んだ承福社長が翌朝、出社するや否や「いやー、この作品、とってもいいわ」と興奮気味に話すんです。あれだけ何冊も本を読んでいるきむさんを魅了する作品ってどんなものなの? 読んでみたい! と痛烈に思いました。
でもせいぜい中級の入り口程度の実力の私にはまだ無理だろうなーと思いながらも、著者本人にも会ったせいでしょうか、何としても読んでみたいとその本を手にしました。
するとキムさんから
「分からない単語が出てきても一々辞書で調べたりせずに、とにかく読んでみて」
とアドバイス。
「いやいや、単語も分からずにどうやって小説を読むの?」
と思いながらも、読み始めました。案の定、わからない単語が出る出る。一つ調べては5単語ぐらい読んでは調べを繰り返し、遅遅として進みません。
数日たち、辞書で調べること自体が面倒くさく感じられ、覚悟を決めて読み進めてみようと思い、1ページを何も調べずに読んでみたら、分からないながらも読める!と思えたんです。すると次へ次へとページをめくることができるのです。そうして5、6ページを読み進めるうちに、「この後の展開はどうなるの? 二人に何がおきるの?」と内容そのものが楽しみになっている自分に気が付き、確か10日あまりで短編一作品を読み終えることができました。
あの時の感動は今でも胸に残っています。作品そのもののすばらしさを韓国語でも味わえている自分にも驚きました。
そんな私から読む作品を選ぶコツを一つアドバイスするなら、「会話文の多い小説」をおすすめ。会話文はドラマや映画で聞いたことのあるせりふが使われていて、「あっ分かるこれ!」と思えること、そしてページ数が進み、読めている達成感があります。
もし日本語版が出ている作品なら日本語であらすじを押さえておくのもおすすめです。
2025年の目標の一つにぜひ「韓国語原書を読む」を加えてみてください。私もこれをお伝えしながら、自分の目標に6作品を読んでみる、と加えました。
作品選びに迷ったらCHEKCCORIにお越しください。一緒に本を選びましょう。お待ちしています。
・『完全版 土地 01巻』朴景利 著、 金 正出 監修、吉川 凪 訳/CUON /2016.11.17
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佐々木静代さんのプロフィール
佐々木静代(ささきしずよ)
クオンならびにCHEKCCORIの宣伝広報担当