韓国の2週間の出来事をピックアップして紹介するコーナー。今回は、11月23日から12月26日までの出来事から、以下の三つのニュースをご紹介します。
韓国の放送各社が公式YouTubeで提供するニュース動画もぜひご覧ください!
記事の目次
45年ぶりの非常戒厳発令、6時間で解除されるも混乱続く
5年の任期を折り返したばかりの윤석열(尹錫悦)大統領。国会が「여소야대(与小野大)」の状況で、人事も来年度予算案も野党の反対に遭い、支持率も20%に届かないなど、厳しい政権運営が続いてきました。
そんな中、尹大統領が12月3日の夜10時23分、対国民緊急談話を開き、「反国家勢力の一掃と憲政秩序の守護」などを理由に비상계엄(非常戒厳)を宣布しました。続いて11時には、「政党活動や集会、デモなど、一切の政治活動を禁じる」など、6項目から成る戒厳司令部布告令第1号が発令されました。
非常戒厳の発令は、박정희(朴正熙)大統領が側近に殺害された1979年10月以来、45年ぶりのことですが、今回の非常戒厳は多くの国民が自分の耳を疑うほど、時代錯誤的なものでした。
武装した軍人280人余りが国会への進入を試みる中、国会に集結した与野党議員190人が4日午前1時、非常戒厳の解除を要求する決議案を満場一致で可決。午前4時27分、尹大統領がこれを受け入れ、非常戒厳は宣布後6時間で解除されました。
そして現在、후폭풍(後方爆風)が吹き荒れています。후폭풍とは、ある出来事が起きた後に起きる反動や影響のことを指す表現です。
野党は、今回宣布された非常戒厳が、憲法で定める「戦時・事変またはこれらに準ずる非常事態」という要件を満たしていないため違憲であるとし、尹大統領の弾劾訴追案を国会に提出しました。
採決は7日午後に行われる予定で、定数300人の3分の2、つまり200人以上の賛成で可決されます。108議席を持つ与党「국민의힘(国民の力)」の中から8人以上の離脱者が出るかが鍵となります。
可決されれば、尹大統領は憲法裁判所が弾劾の可否を決定するまで職務を停止することになります。
ソウルで28.6センチの積雪。11月としては観測史上最大
11月26日の深夜、中部地方を中心に降り始めた雪は28日まで続き、서울(ソウル)では28.6センチ、경기도(京畿道)수원(水原)では43センチの積雪を観測しました。
ソウルでは11月の積雪量としては1907年から観測史上最大、水原では64年からの観測史上最大の積雪量を記録しました。
多くの地域で첫눈(初雪)となったこの日。当初、降雪が予想されていなかった上に、経験したことのない大雪になり多くの市民を驚かせました。
今回の大雪は서해(黄海)の海水温が例年より高かったところに、寒気が流れ込んだことが原因といわれています。湿った雪が積もったことで、重さに耐えかねた市場のアーケードの天井が落ちたり、ビニールハウスが壊れたりするなどの被害が相次ぎました。
SNSで話題になったのが、車がノロノロ走る横をスキーでさっそうと走る男性です。
元国家代表スキー選手で、現在は高校の教師をしている人でした。自宅から高校まで12キロの道のりを1時間半かけてスキーで行ったものの休校になり、公共交通機関を使って帰宅したそうです。
12月からモバイル住民登録証を発行
韓国の身分証である「주민등록증(住民登録証)」を、希望すれば12月27日から携帯電話に搭載することができるようになりました。地域の住民センターで1回用のQRコードを撮影するだけで発行されます。
韓国では、役所に出生届を提出すると13桁の住民登録番号が付与されます。前半は生年月日を表す6桁、後半は性別や出生届を出した地域などを表す7桁の番号になっていて、個人を識別するものとして広く使われています。韓国のオンラインサービスの利用にも欠かせません。
満17歳になると地域の役場に出向き、指紋を採取された上で、住民登録証が発行されます。これは選択ではなく必須で、申請を行わない者には罰が科せられます。
かつては住民登録証の携帯が義務とされていましたが、現在では他の身分証があれば使うことがあまりありません。すでに「모바일 건강보험증(モバイル健康保険証)」を携帯電話に入れている人も多く、それで事足りることも多いようです。
ちなみに、1986年に私に初めて発行された住民登録証は紙にコーティングがされたもので、名前や住所などが手書きのハングルと漢字で書かれていました。とっても達筆だったことを覚えています。
韓さんのニュース+α「コロナ禍での住民登録番号の活用方法は?」
3番目に取り上げたニュースに関するクイズです。コロナ禍であるモノの購入に住民登録番号が活用されたことがありました。何でしょうか?
コロナ禍で不足するマスクを公平に購入できるよう導入されたのが、「마스크 5부제(マスク5部制)」です。これは、住民登録証にある出生年度の1の位の数が「1または6」だと月曜日、「2または7」だと火曜日というように、曜日ごとに購入できる人を制限するもの。1人が購入できる枚数は2枚までで、重複購入できないよう、住民登録番号で購入履歴が管理され、販売店をはしごしてもそれ以上買えない仕組みになっていました。これにより、長時間並ばずにマスクを購入できるようになったそうです。
今回紹介した3つのニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画はいずれも2分前後のものです。聞き取り練習にぜひ生かしてみてください。