명동(明洞)と안국(安国)の間にあり、韓国人も多く訪れる観光地・인사동(仁寺洞)。
はやりのアパレルショップやカフェはありませんが、地元の人に愛される息の長い食堂や喫茶店、韓国らしいお土産を扱う雑貨屋が軒を連ねます。
また、仁寺洞のすぐ隣にある地下商店街「낙원상가(楽園商街)」は外国人が立ち寄ることのない穴場。古き良き韓国の姿を見ることができます。
再開発の狭間ともいえる仁寺洞。ここだけは昔のまま
至る所で再開発が進み、高層ビルやマンションがどんどん建設される서울(ソウル)。
建設のスピードがとてつもなく速いので、旅行で訪れるたびに「こんなビルあったっけ?」と思う人も多いでしょう。
仁寺洞の周りも同じで、종로역(鍾路駅)から仁寺洞に歩く道中には2026年竣工予定の大型ビルが建設中です。
かつてはバッティングセンターがあった場所も今では更地に。さらに昔にさかのぼれば、この界隈には屋台村もありました。
再開発が進んで便利になるのもいいですが、やはり昔ながらの景色が消えていくのは寂しくもあり……。
피맛골(ピマッコル)と言われる居酒屋通りも、すっかり姿を消しました。
仁寺洞のランドマーク「쌈지길(サムジキル)」にも寄ってみましょう。
中庭を囲むように建てられたらせん状の建物に、伝統工芸品やアクセサリーなどを扱うショップが多く入店しています。
中庭スペースに期間限定で出展しているイベントブースも見逃せません。
イベントスペースにあったじゃんけんゲームに大興奮! これに見覚えがある人は昭和生まれでしょうか。
こじんまりとしたショップが集まるサムジキルも楽しいですが、仁寺洞のメインストリート沿いにある土産物を扱うお店も見逃せません。
個人的におすすめなのが、買おうと思っても意外とどこで売っているのか探せないこの陶器。
ふた付きの器はたくあんなどの常備おかずの入れ物に最適ですし、平皿もナムルが映える色合いでおしゃれ。値段も5000Wからと手頃です。
ジャンクなのかアンティークなのか判別が難しい書物や金物屋などもあり楽しめます。
ハイテクコンビニがオープンしたアンニョン仁寺洞へ
2019年のハングルの日(10月9日)にオープンした「안녕인사동(アンニョン仁寺洞)」。
オープン後にコロナが発生してしまい、しばらく物寂しい雰囲気が続いていましたが、今ではすっかり人出が戻っています。
1階には「라인프렌즈(ライン・フレンズ)」のショップの他、韓菓の専門店や韓国式のようかんが有名な「금옥당(金玉糖)」など、気の利いたお土産にぴったりのお菓子屋さんもあります。
アンニョン仁寺洞は仁寺洞では珍しく、上階にはホテルが入る高層ビル。
そのため、エレベーターを降りて外に目をやると、こんな景色を見ることもできます。
昔ながらの瓦屋根のすぐそばに高い建物が軒を連ねる、これぞソウル!な景色です。
アンニョン仁寺洞の2階でひときわ存在感を放つショップがあったので行ってみると、そこは韓国最大手のコンビニ・GS25でした。
「그라운드블루49(グラウンドブルー49)」というセカンドネームがあり、“未来型の遊び場”として外国からの観光客が多い仁寺洞に2024年8月21日にオープン。
リテールテック体験ゾーンやKフードステーション、Kヌードルチャレンジステーションなど、魅力的なコンテンツが集まっています。
ピザを焼くのも、コーヒーを入れるのも、ここでは機械が担当。子どもも大人も見入っていました。
こちらは漢江公園でおなじみ、韓国のインスタントラーメンを簡単に作れる機械が置かれたコーナー。テーブルと椅子もあります。
韓国のお菓子や食べ物が充実しているコンビニなので、お土産探しに訪れるのもいいでしょう。近未来感あふれるインテリアもしゃれています。
ディープなソウルを体験できる楽園商街
仁寺洞から歩いてすぐの場所にある楽園商街は、主に楽器を扱う音楽関係のショップが多いことで有名です。
その地下1階には市場があり、そこが個人的にとてもおすすめ!
再開発が進むソウルで、まだこんなディープな雰囲気を味わえる場所が残っていることに感動します。
楽園商街の名前で親しまれていますが、正式には上階は「낙원악기상가(楽園楽器商街)」、地下の市場は「낙원지하시장(楽園地下市場)」と名付けられています。
楽園商街近くの路地にはタイムスリップしたような気分になる看板も。
この界隈は아저씨(おじさん)や할아버지(おじいさん)の天国と言われ、囲碁や将棋を打つ人が集まり、無料の食事提供が行われています。
食堂も4000Wほどで해장국(酔い覚ましスープ)や짜장면(ジャージャー麺)が食べられるという安さ!
地下1階にある市場に行くと、薄暗い中、蛍光灯がこうこうと光を放ち、外とは別世界。
비빔밥(ビビンバ)や잔치국수(韓国式にゅうめん)などの食事所も何軒かあるので、昼時には近隣の会社員でにぎわいます。
こちらも価格は6000Wほどと地上の食堂に比べたら格安。
中には、かの有名グルメ番組「수요미식회(水曜美食会)」に出た맛집(おいしいお店)・일미식당(一味食堂)もあります。
一度食事をしたことがありますが、청국장찌개(チョングッチャン*チゲ・9000W)がおいしく、おかずもたくさんサーブされました。
*清麴醬(チョングッチャン):大豆を納豆のように発酵させ、塩分を加えたみその一種
김치(キムチ)を売る売店があったり、고춧가루(トウガラシ粉)や참기름(ごま油)を売る방앗간(製粉所)があったり。
台所道具を売る金物屋もあるので、韓国ならではの食材や道具を求めて行くのもアリです。
最後は楽園商街の近くで見つけた북숭아(モモ)の販売カーで締めたいと思います。
ここまで大量のモモ、ちゃんと売り切れるのかしら……。