韓国一の芸術大学・홍익대학교(弘益大学)があることから、個性的な人や物、事が集まる街として知られる홍대(弘大)。
クラブが多いため“若者の街”というイメージが強いですが、ここに韓国ならではの伝統家屋・韓屋を改装した趣のあるカフェがオープンしました。
1966年に建てられた韓屋を上手にリノベーション
話題のショップやカフェが次々にオープンし、トレンドに敏感な世代が行く街・弘大。私も若い頃は韓国旅行のマストエリアとしてよく訪れていましたが、年を重ねるごとに遠い場所に……。
今から20年ほど前、母と서울(ソウル)旅行をした際、私は弘大に行きたがりましたが、母は「弘大はちょっと……」と消極的でした。今ではその気持ちがよく分かります。弘大は若過ぎるのです。
それでも、母娘旅行は楽しいもの。2人が満足できる弘大のコースとして提案したいのが、新しくできた韓屋カフェ「이음1966(イウム1966)」です。
弘大のカフェというとキラキラしていたり、若い子しか店内にいなかったり。おしゃれ過ぎてちょっぴり落ち着かないイメージがありますが、ここは大丈夫。
韓屋の特徴とも言える中庭の植物を眺めながら、弘大の喧騒から逃れてゆっくりとくつろげます。
1966年に建てられた韓屋を、趣のある古い物や歴史を感じられる物が大好きなオーナーが3年かけてリノベーション。カフェとして2024年5月にオープンしました。
韓屋ならではの台所や低い天井の地下室など、昔の暮らしを垣間見られるインテリアは一見の価値があります。
オーナーのご主人がレトロ家電好きだそうで、趣味で集めた古いオーディオがずらりと並ぶコーナーも。韓国人の間ではこの雰囲気が「スタジオ・ジブリ」の世界観に似ていると、ブログやSNSで話題になっています。
韓屋の軒先には고무신(ゴム靴)が。
ちなみに、韓国では軍隊に入隊した彼氏を待つ女性のことを“コムシン”と言います。「고무신을 거꾸로 신다」ということわざのようなフレーズに由来していて、直訳すると「ゴム靴を反対に履く」ですが、この場合は「入隊した彼を待てずに浮気をする」という意味で使われます。
日本と同じく、ことわざや言葉遊びが多い韓国語。学ぶのも楽しいですが、なかなか難しいですね。
お餅や手作りクッキーにハス茶まで。滋味深いスイーツとお茶に大満足
オーナーも3児の母ということで、体に良い素材で作られたドリンクやスイーツを提供しているイウム1966。
オーナーがおいしいと信頼を寄せるお餅屋さんのスイーツや、オーナーが丹精込めて焼いたクッキーは、甘さ控えめでついつい手が伸びます。
망개떡과 굴레떡(韓国版の柏餅と緑豆のあん入り餅)6500ウォンと、아몬드 크림 에스프레소(アーモンドクリームエスプレッソ)7500ウォン。
제주 보리 카카오(済州麦カカオ)は9000ウォン。オーナーが済州島で見つけた有機カカオを扱うブランド「코코하 패밀리」のショコラを使った、미숫가루(穀物類を粉にしたもの。水や牛乳などで割って飲むことが多い)のような味がするドリンクです。
ハスの葉と花のインパクトが大きい연꽃차(ハスの花茶)は2万3000ウォン。量も多いので何人かでシェアするのがおすすめです。
そして、住まいと食に関心が高いオーナーは、これから少しずつ暮らしの道具も販売していきたいと言います。今はオリジナルのクロスだけですが、今後何が展開されるのか楽しみです。
韓屋カフェというと안국(安国)や삼청동(三清洞)が有名ですが、弘大にもこのような風情ある韓屋カフェができてうれしい限り。
ちなみに、韓屋は気候の影響を受けやすいそうで、暑さの厳しい真夏と寒さが増す真冬は営業を控える予定だそう。行かれる前はインスタで営業しているか確認するといいでしょう。