韓国語の品詞を見ると、副詞は、冠形詞と一緒に修飾言というグループにまとめられています。
修飾言はその名の通り、修飾という機能によってまとめられたグループです。ですので、副詞にも冠形詞と同じように修飾の機能があることが分かります。
副詞の特徴
それでは、冠形詞と副詞の違いは何でしょうか。冠形詞が修飾するのは体言(名詞)でした。
一方、副詞が修飾することができるのは、基本的には用言(動詞・形容詞)となります。例えば、副詞を使うときは以下のように使います。
この例では、動詞の먹었어요(食べました)と形容詞の많아요(多いです)を、その前に置かれた다(全部)と아주(とても)がそれぞれ修飾しています。
これが、副詞の一番基本的な使い方です。
このように、副詞は主に用言を修飾しますが、用言以外の要素を修飾することもあります。まず挙げられるのは、副詞が別の副詞を修飾する場合です。
例えば、次のようなものがあります。例を見てみましょう。
以下の一つ目の例は副詞の잘が用言の부른다を修飾していて、上の다や아주と同じ形です。一方、二つ目の例では副詞が二つあります。
二つ目の例では、잘が부른다を修飾し、さらにその前から아주が잘を修飾していることが分かります。
これを見ると分かるように、아주などの程度を表す副詞は、他の副詞を修飾することができます。
他にも、以下のような例で、副詞が副詞を修飾しています。
副詞が修飾するのは、用言や副詞などの単語だけではありません。単語ではなく、文全体を修飾することもあります。
これらの아마や설마という副詞は、用言の오다や의심하다だけを修飾しているのではなく、비가 오다や나를 의심하다という後ろの文全体を修飾しています。
このように、副詞が修飾する対象にはさまざまなものが含まれます。
副詞の特徴は、「用言を修飾する」「副詞を修飾する」「文を修飾する」
文を修飾する副詞が持つ性質
さらに、文を修飾する副詞を使う場合、一緒に使われる用言の形が制限されます。
例えば설마という副詞は文全体を修飾しますが、これを使うときは、後ろには疑問形や-다니(~するなんて)が付いた形が来ることが多いです。一方、例えば疑問形ではなく平叙形の-아/어は、文末に使うことができません。
以下の例を見てみましょう。
この他、修飾という役割を持たず、文と文を接続する働きを持つものも、文を修飾する副詞として含めることがあります。
例えば、그리고(そして)や하지만(しかし)などです。これらも、文の始めや文の中に置かれて、文全体の意味を補足する働きをするからです。
しかしこのタイプのものは、副詞として認める立場と、認めない立場があります。
学校文法では副詞として認めており、接続副詞という名前を付けていますが、これらは修飾の機能を持たないことから、副詞と認めず「接続詞」という別の品詞を新たに作る立場もあります。
このように、副詞という品詞には、さまざまな性質の単語が含まれています。
練習問題を解いてみよう
Q 下線部の副詞がどの部分を修飾しているか、考えてみましょう。
※ 解答は問題の横の「+」ボタンを押すと表示されます
2 사람들이 엄청 많이 왔어요.
3 아예 믿지도 않았어요.
4 저는 이제 가야 돼요.
5 혹시 누가 있을지도 몰라요.
6 반드시 이기는 것은 아니에요.
1 할게요。後ろに来る要素を修飾するので、할게요となります。【訳】一生懸命勉強します。
2 많이。ここでは多さの程度を強調しているので、많이だけを修飾しています。【訳】人がとてつもなくたくさん来ました。
3 믿지도 않았어요。믿다(信じる)ことではなく、믿지도 않았다(信じてもいなかった)ことを修飾しています。【訳】初めから信じていませんでした。
4 가야 돼요。「行かなければいけない」という状況になったことを이제(もう)という副詞を使って表しています。【訳】私はもう行かないといけません。
5 누가 있을지도 몰라요。「誰かがいるかもしれない」という内容全体の可能性について、話者自身の考えを補足しています。【訳】もしかしたら、誰かいるかもしれません。
6 이기는。「必ず勝つ」という内容を後ろから否定しているので、반드시が修飾しているのは이기다という部分のみです。【訳】必ずしも勝つわけではありません。
副詞形
冠形詞形と同じく、用言には副詞形も存在します。副詞形は、名詞形や冠形詞形などと同じく、用言が活用によって副詞のふりをしているものです。
使われる語尾には、-게や-도록などがあります。
例えば以下の例では、여유가 있다(余裕がある)という内容を副詞的に使うために、-게を使って있게という形を作り、여유 있게全体を副詞のように使っています。
また、以下の例の안이 잘 보이도록(中がちゃんと見えるように)では、보이다という用言が-도록によって보이도록に活用しています。
もともと、안이 잘 보이다(中がちゃんと見える)という文だった固まりを副詞のように使うために、보이도록という副詞形に活用させ、열어 보세요(開けてみてください)を修飾しています。
こうした用言の副詞形と違って、많이や빨리などは、많다や빠르다などの用言から派生して作られた副詞(派生副詞)として扱われます。
上の여유 있게の場合、もともとの여유という主語をそのまま持っているので用言の働きも残っていますが、많이や빨리は用言としての役割を失っていて主語を持つことができません。
副詞のふりをしているのではなく、正真正銘の副詞になっています。
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