2010年代を食文化で振り返る

韓食の再評価!2010年代を食文化で振り返る

韓食の世界化

韓牛の特殊部位
韓牛の特殊部位

2010年代(2010〜2019年)の韓国料理を振り返る。それにはその少し前、2008年2月に就任した이명박(イミョンバク)(李明博)大統領の話から始めねばならない。

就任直後の同4月、米国産牛肉の輸入再開を決めると、安全性への懸念などから国民の猛反発を受けた。

大規模なろうそくデモが行われるなど前途多難な出帆となったが、これを機に在来種である한우(ハヌ)(韓牛)の評価が高まり、高級な韓牛を安価に提供する精肉食堂の増加、部位を細分化して味わう특수부위(トゥクスブウィ)(特殊部位)人気の向上へとつながった。

これ自体は意図せぬ国産回帰だが、李明博大統領は就任当初から「韓食の世界化」を掲げ、世界に通用する韓国料理の育成を目指した。

これが自国の食文化を見直すきっかけとなり、韓牛のみならず、身近な食文化の再評価へと至ったのは大きい。

즉석떡볶이
즉석떡볶이(鍋仕立ての即席トッポッキ)

2010年代前半の막걸리(マクコルリ)(マッコリ)や、즉석떡볶이(チュクソクトクポッキ)(鍋仕立ての即席トッポッキ)のブームが好例であり、韓国料理を洗練させた모던코리안(モドンコリアン)(モダンコリアン)とスターシェフの登場、한식뷔페(ハンシクプィペ)(韓食ビュッフェ)の流行、집밥(チプパプ)(家ご飯)の外食化といった流れに通じる。

数カ月で入れ替わるスイーツのはやり

슈니발렌
슈니발렌(シュネーバレン)

また、2010年代前半は、数カ月ごとに主役が入れ替わるせっかちなスイーツブームの端緒でもあった。

割って食べるドイツ菓子の슈니발렌(シュニバルレン)(シュネーバレン)、벌집아이스크림(ポルチバイスクリム)(蜂の巣ソフトクリーム)、대만카스테라(テマンカステラ)(台湾カステラ)など。短期間で急速に広まり、半年から1年ほどで入れ替わる流れが生まれた。

허니버터칩
허니버터칩(ハニーバターチップ)

背景には、常に最新の流行を求めるSNSの普及がある。2014年の허니버터칩(ホニボトチプ)(ハニーバターチップ)が象徴的であり、この時期からSNS世代に向けた奇抜な菓子、スナック、スイーツ、インスタントラーメン、フライドチキン、コンビニ商品が注目を集める。

YouTuberの먹방(モクパン)(食レポ動画)とも連動しつつ、食べるだけでなく見せるための商品開発が定着。전구소다(チョングソダ)(電球ソーダ)や、치즈핫도그(チジュハットグ)(チーズドッグ)は日本にも伝わってブームを作った。

韓食と世界の食文化を融合

ベトナム料理のバインミー
ベトナム料理のバインミー

現在流行中の마라맛(マラマッ)(麻辣味)商品も同様だが、これは2010年代後半の急激な海外旅行ブームとも連動している。

2018年の場合、国民の55.4%に相当する約2869万人が出国。主要な旅行先である日本、台湾、ベトナムなどの料理が新たなブームを作る。

振り返ってみると、2010年代の韓国料理は、世界を意識した自国料理の再評価から始まり、これを土台として海外の食文化を積極的に取り入れた10年だった。

この流れは現在も進行中である。世界の食文化を敏感に取り入れつつ、韓国式に昇華した料理のブームが今後も続くだろう。

(写真提供:八田靖史)

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